[015] サステナブル?

一種の流行り言葉でもあるのでしょうか、ニュージーランド林業を語る上でも「持続可能(サステナブル)な・・・」と良く形容されます。しかし文脈によっては、何をもってしてのことなのか、と感じるときもあります。

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グラフは、ニュージーランドの人工林面積の推移を、その年の前年比増減で示したものです。1990年代のピークから下降線をたどり、2004-2011年は実質マイナス成長となっています。現状この程度のマイナス数値であれば、林業の性質上、そこまでの貯金もありますので大勢に影響を及ぼすものではないと思います。ただし傾向の変化としては、今後数十年の展開次第では、大きな過渡期であったのかもしれません。

ニュージーランド林業はほぼ全量が人工林ベースで、もちろんそこは重要なアピール・ポイントです。雑な言い方をすれば、伐期をむかえた木を伐採し再植林していけば、森林資源自体は原則として「サステナブル」でしょう。ですが実際の林業経営は、木材需給の動向、価格の変動、自然災害やその他の被害、所有者の理念や方針、経営規模、政策、林業以外の土地利用の魅力度などによって大きく左右されます。

需要のある商品を適正な価格で。この林業経営を「サステナブル」と出来るかは、時のみぞ知る、また別の話ですね。この議論は、昨今のニュージーランドの森林所有形態の変化や、約30年というラジアータ・パインの伐採周期とも絡んできます(このあたりはまた次の機会に)。


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