ワイカト地方ハミルトン市郊外にて、巨大酪農協同組合会社 Fonterra の生産拠点と、全国家畜改良協同組合である Livestock Improvement Cooperation を視察訪問する機会に恵まれました。
言うまでもなく酪農・畜産はニュージーランドを代表する産業です。個人的にもいくつか酪農事業や乳製品市場関連のプロジェクトを請け負った経験があるので、興味深い小旅行となりました。
共に輸出市場への依存度が高いニュージーランドの酪農業と林業ですが、産業構造は大きく違います。林業との対比からその違いを突き詰めると、酪農業は(1)各経営母体のほとんどがファミリービジネスの酪農家(2)生産物はよりコモディティ、であることだと言えます。したがって国際市場の中で競争力を高めるためには、透明性の高い大規模な組合化や物流・販売の組織化が必要となってきます。それにともない、産業界の意識も「ニュージーランド協同組合」対「競合他国」となります。
ひるがえって、ニュージーランドの林業・林産業は、いまだに各企業の競り合い意識が強いと感じます。自由競争・開放市場が徹底しているとも言えますが、1-2社の独占状態でもない限り、産業全体としての国際市場における戦略的意思決定では遅れをとります。特にニュージーランドのラジアータ松は、対競合他国・樹種との相対的位置づけが問われる商品です。旧態からの脱却のためには、酪農業のような他産業から学ぶことも多いとあらためて感じました。
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