前回に引き続き、ニュージーランドの酪農製品輸出動向について、林産物と比較して見ていきます。
ニュージーランドの酪農製品輸出高を相手国別に見ると(グラフ右)、ここでも中国の台頭が圧倒的な存在感です。2004年には7%だったシェアが、2009年で12%、2014年には29%と急激に増加しています。この背景には、中国の経済成長はもちろんのこと、2008年にニュージーランド・中国間で終結された自由貿易協定があります。2位以降は、中東・東南アジアの国々などや米国が続き、日本は第8位につけています(2014年)。
ここで林産物輸出(グラフ左)と比較して目に付くのは、酪農製品輸出の場合、中国向け29%が突出しているという点を除けば、2位以降はシェア1-5%の相手国が20カ国ほど群雄して存在することです。対して林産物輸出は、中国向けのシェアが47%と一段と偏って高く、さらにインドまでの上位5カ国で総輸出高の84%を占めています(2014年)。
試しに両方のデータから中国向けを引いてみると面白いことがわかります。酪農製品の中国以外への輸出高は、2004年から2014年にかけて47億NZドルから104億NZドルへ増加。一方、同期間の林産物輸出高は19億NZドルから19億NZドルと変化なし。「市場多様性」への課題がここでも浮きあがってきます。
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