ニュージーランドの林業というと、単一樹種(ラジアータ・パイン)で構成された広大な植林地での大規模な開伐施業というイメージがあります。その認識は正しいのですが、当産業における小規模林業家の役割も見逃せません。
10,000ha 以上を持つ森林所有者を「大規模」と定義すると、ニュージーランドの人工林面積約1.7百万ha に占めるその割合は53%です。この数字は他の林業先進国と比較しても相対的に大きく、この大規模林業経営者が、実際にニュージーランド林業からの出材の過半数を担っています。ビジネス面でニュースになるような話題やマクロな産業調査は、概ねこちらの大規模森林所有者・経営企業が対象となるわけです。
しかしながらその一方で、「小・中規模」の森林所有者が残りの47%であることも事実であり、そこからの出材量もトータルではかなりの量です。特に小規模の森林所有者にとっては、単純に考えると大規模所有者の「規模の経済」にはかないませんから、経営面や物流、意思決定などの分野で様々な工夫が必要となってきます。また、そのような小規模経営者へのサービスに特化した業者も存在します。
筆者はこの1-2年で多くの「小・中規模」森林所有者を訪れ現状を知る機会に恵まれました。また折に触れ、こちらのコラムでも紹介していきます。
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