ニュージーランド林業の稼ぎ頭のひとつである丸太輸出。中国向けの激増に沸いた2010年代前半を過ぎ、落ち着きを見せる最近年の数量の動きと輸出価格の推移を視てみます。
2007年サブプライム住宅ローン危機を切っ掛けとした国際金融危機時の低迷を経て、ニュージーランドの針葉樹丸太輸出業は中国という巨大市場を獲得しながら数量を一気に伸ばしました。ここまでのピーク総量は2013年と2014年の年間16百万㎥強、うち中国向けが70%前後を占めました。その間、ニュージーランド産針葉樹丸太の平均FOB価格も、需要に引き上げられるかたちで大きく上昇を続けました。
しかしその後、中国の経済軟化やクレジットクランチ問題も発生して中国国内の丸太在庫の動きが停滞、2015年の数量は10年ぶりのマイナス成長、価格は2014年の最高値(第一四半期)から2015年の最安値(第三四半期)までの18ヶ月で37%下落しました。
2016年に入り、2015年の下落からの反動で数量・価格ともに回復傾向が見られています。ただその内容は、ニュージーランド側の供給体制も含め、数年前までの「伐れよ売れよ」の流れとは明らかに違ってきています。サプライヤ間の中長期見通しにも以前に増して幅が見られ、森林評価査定などに携わるコンサルタントを悩ます、不確定要素の多い現状です。
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