2015年のニュージーランド針葉樹製材輸出統計を仕向け先別で見ると、対米国が金額ベースで久しぶりに首位に返り咲いていました(数量ベースでは3位)。
日本市場では産業資材・梱包材のイメージが強いラジアータパインの製材品ですが、米国向けの主力製品は造作部材・モールディング材です。ここに、適切な枝打ち施業を行い長尺のクリア材が取れる、ラジアータパインの強みが発揮されます。
この米国向けクリア材は、ニュージーランドが1990年代後半から2000年代前半にかけてかなり注力したターゲット市場ですが、2000年代後半には一気に数量が落ち込みます。理由はもちろん、2007年末から2009年頃を中心として米国で起きた、住宅購入用途向けサブプライム・ローンの不良債権化。リーマン・ショックをはじめとする国際経済問題に発展しましたが、ニュージーランドの林産業界にとっては、一大市場の喪失(激減)でした。また、環太平洋市場全体の木材需給地図にも、大きな影響を与えました。
しかし、近年の米国住宅統計を追うと、サブプライム危機直後に年間60万戸を割った着工数は、この3~4年安定して100万戸以上のペースを維持。2000年半ばの200万戸超えには及びませんが、木材需給上はまずまずの回復。ニュージーランドの製材業界には好材料です。
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