[072] NZの最低賃金

毎年上昇を続けるニュージーランドの最低賃金。2017年4月からまた、時給15.75NZドルに上がります。

日本では各都道府県の「地域別最低賃金」と、特定の産業を対象にした「特定(産業別)最低賃金」の2種類がありますが、ニュージーランドは一律適応となります。2017年4月から施行予定の時給15.75NZドルは、80を掛けると1260円。日本の「地域別最低賃金(2016)」が全国加重平均で823円、最高でも東京の932円であることと比べると、かなり高く感じられます。

グラフは、2000年以降のニュージーランドの最低賃金と消費者物価指数の推移。ともに大きく上昇、2007~2017の10年間でも物価指数が+20%、最低賃金は名目で+40%の増加です。このギャップの拡大は、一般庶民の生活に直接影響を与える食料費・住居費・教育費などが軒並み、平均物価指数を大きく上回るペースで上昇していることに起因します。最低賃金底上げの目的は理論上「ワーキング・プア」を減らすことですが、雇用主はより雇用に慎重になるため、その層の雇用機会の喪失も同時進行します。加えて人口はハイペースで増加中、ニュージーランドでも「二極化」が進行しています。072wage

仕事柄、各国森林業・木材産業のコスト比較や地域差、競争力分析・ベンチマーキングなどの案件に携わりますが、ニュージーランドの森林業・木材産業も、かつて「人件費」もそれなりに競争力のあった時代から、資本集約型、さらには知識集約型にシフトしてきました。集約的施業や機械化・効率化・最適化、育種や加工技術のノウハウ、そして製品化へのイノヴェーションが、近年の競争力の源となっています。


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