ニュージーランドで土地・住宅関連の話をしていると、”Quarter Acre” という言葉をよく聞く。いや、「よく聞いた」というべきか。
1エーカーの4分の1だから、平米に置きかえると 1011.714 ㎡。これはニュージーランドで古くから住宅地の一区画として用いられてきた基準サイズで、働いてお金を貯めて、”Quarter Acre” の土地(と家)を手に入れるということが、長らく一般市民の標準的な人生設計のひとつであった。おそらく都市部以外の地方では、いまでもその価値観は大きく変わっていないと思う。
やはり土地・住宅関連の話でこちらで良くきく単語に、”subdivision” がある。土地分割し、所有権を切り離して片方(または両方)を売ったりする方法。こちらは近年、より頻繁に日常的に耳にする言葉だ。都市部の住宅不足を反映し、すでに土地・一軒家を持っている庶民にとって、極めて一般的で容易な財テク手段となり得る。
それぞれの都市計画に基づいて “subdivision” できる最低面積があり、その数値は小さくなってきている。つまり、かつて “Quarter Acre” を500㎡ ずつに分割するのが標準だったとして、それが800㎡を400㎡ずつに、最近は600㎡を300㎡ずつに、といった風に。だから今住宅を購入する場合、特に都市部では土地面積が300㎡であったりするわけだ。
時は流れ、この国で「うちの家はさー」と同じような感覚で耳に入っていた「うちの “Quarter Acre” がよー」といった風情ある表現は、すくなくとも都市部では風化されていっている。
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