ニュージーランドの人工林面積が国土の6%(しかない)と紹介すると、軽く驚かれることが多い。
雄大な自然を有し、一般に「クリーン」「グリーン」なイメージで親しまれるニュージーランドだが、こと森林・林業の見地からみると、その国土面積に占める森林面積の割合35%(天然林+人工林)は、森林資源国・林産業先進国としては決して高い数字ではない。
先住民入植当時、国土の8割以上は森林(天然林)であったが、その後の森林開拓や19世紀以降のヨーロッパ系移民による農地・牧草地への土地転換によって、森林は急速に減少していった。貴重な森林資源の乱伐を憂慮した政府は、20世紀初頭から本格的に森林行政を開始した。天然林については伐採を厳しく規制し、また国立公園や保全林の指定を進めるなどして保護。一方では、失われた木材資源の再構築と雇用対策の一環として、大規模な植林事業を展開していった。
現在のニュージーランド林産業は、限られた許可制の一部の天然林利用を除き、ほぼ全量がこの人工林からの出材と考えて良い。現在の植林地面積は171万ヘクタール。これは国土の6%にあたる。地理・地形条件が比較的近い日本との比較で、人工林面積は2割に満たないが出材量は1.5倍を超える。ここからも、ニュージーランド林業の集約性と思い切った政策の成果が垣間見える。
©NZmokuzai.com all rights reserved. 文・図表・写真の無断転載を禁じます