林野庁発表の平成28年次資料によると、日本の「木材自給率は前年から1.6ポイント上昇して34.8%となり、平成23年から6年連続で上昇」した(図1)。
国産材利用の度合いを測るいち指標としては上向きで良い傾向だが、さらに読み解くには、総需給量の推移やその内訳の変化も合わせ見る必要がある。先ずは項目別に、2016年次データの前年比増減の割合をまとめた(図2)。「用材」の増加率が「供給量合計」のそれを下回っているのに対し、「燃料材」の伸びが顕著だ。特に「国産燃料材」が突出しており、これが近年の「木材自給率」上昇の要因のひとつだと分かる。低価値材の割合が増すと、本来の木の単価が下落する。FITやバイオマスによる「燃料材」単独での増加は、産業構造や市場にひずみを招くことになる。
理想は、内外産を問わず国内市場での木材利用の絶対量がさらに増え、それを牽引するのはより高価値な「(国産)用材」需要で、その結果、副産物・低質材の有効活用として「(国産)燃料材」供給量も増すことだろう。そんな思いで「国産用材率」なる指標を設定し、グラフ化してみた(図3)。案の定、数値は近年停滞気味で、2016年次の総供給量に対する「国産用材率」は28.6%、前年から0.4ポイント落としている。
希望(私見)を言えば、図3で示した三つの値、(1)「国産用材」供給量も、(2)「国産用材以外」供給量も、そして (3)「国産用材率」も、すべて上昇する姿が見てみたい。年間成長量に応じた「国産(用)材」収穫の需給バランスが取れていれば、その結果として相対的な「自給率」が下がっても問題ないではないか。
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