ニュージーランドの地形は、細長い島国であり急峻な山脈が南北に連なるという意味で日本と良く似ている。
ニュージーランドといえばうららかな春の陽差しの下、なだらかな丘陵地で草を食む羊のイメージなどを想起する方も多いと思うが、氷河あり山岳地帯あり、火山、温泉に湿潤な原生林と、その大きく変化に富む自然や地形でも有名だ。日本と同じく、断層が走る地震国でもある。
林業施業は地形によって制約を受ける。端的な例として、傾斜によって集材方法がグラウンドベースかケーブルシステムかに大別される。また森林の持つ国土保全機能と隣り合わせなのが傾斜地での土砂災害リスクだ。その観点から、ニュージーランドの国土全体を土砂災害発生リスクで階級分けしたのが図1となる。国土面積約27万平方キロメートルのうち、過半数の54%が「中」程度以上のリスクを伴う。
このデータを既存の植林地分布と重ねると、ニュージーランドの植林地面積約1.7万ヘクタール中、72%が土砂災害発生リスク「中」程度以下に区分される(図2)。特に図1との比較によって、リスクが「中」程度の土地に植林活動が集約していることが伺える。別の見方をすると、3割程度が集材にケーブルシステムを要する立地に在ると言えよう。
ニュージーランドの既存植林地の約90%はラジアータパインの単純一斉林に近いものであるが、「(ラジアータを)植えよ増やせよ」が一段落した今、土砂災害発生リスクの高い地域には国土保全を優先した代替樹種(があればそちら)を植えるべきという意見が、近年多く聞かれるようになってきている。その「代替樹種」についてはまた別稿にて。
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