[120] キウイビルド

「キウイビルド」の住宅展示および抽選販売受付が始まった。

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ニュージーランドの都市部では人口の増加にともない、住宅の供給が抜本的に不足している。富める者は投資目的で複数の物件を所有し、不動産の価格は上昇の一途で、初めてマイホームを購入する持たざる者「ファースト・ホーム・バイヤー」にとってはすでに手の出ない買い物となっている。1991年には73.8%あったニュージーランドの持ち家居住率は、2013年には64.8%まで下落した。特に「30~40代でもマイホームを買えない」層の増加が統計上も顕著だ。

この現状を憂慮した新政権の労働党が打ち出した政策が、2017年12月に可決された「キウイビルド」。予算20億NZドル、国支援で低価格帯住宅を向こう10年間に計10万戸供給するというもの。これはニュージーランドの新規住宅着工数の約3割にあたる。また、元来はビルダーによる注文住宅が主のニュージーランド住宅市場にあって、こちらはディベロッパーによる造成からの建て売りという意味でも、比較的新しい潮流と言える。ただし私見だが、冷静に「20億NZドル÷10万戸=2万NZドル/戸」と考えると、目を引く宣伝ほどに華々しい補助額ではないなという印象もある。

それはさておき、ニュージーランドの住宅は木造2×4構造なので、「キウイビルド」は木造住宅や各種木材・建材の需要拡大にも直結する。そのようなプロジェクトに今ちょうど関わっており、今月完成したばかりの「キウイビルド」第一弾、オークランド効外18棟を視察・内見してきた。価格は3ベッドルームで579,000NZドル(約4300万円)、4ベッドルームで649,000NZドル(約4800万円)。巷の戸建て物件の市場価格よりは安いが、素材や造り、周囲の環境を見ると「決して安くはない」というのが率直な感想。新規宅地造成された区画、周囲は似通ったデザインばかり、個性や風情の無さは否めないものの、この御時勢ではあっという間に完売するのだろう。

向こう10年というスパンで(「政権交代したらどうなるの?」というリスクは感じつつも一応は)安定・成長市場として見通しの立つマーケット。特に中価格帯までの建て売り系住宅メーカーやコントラクターにとっては、上積みの市場機会であることは間違いない。木材サプライヤ視点でいえば、構造用材を軸に、造作材や外構材の国内需要も今後しばらくは堅調であることが予想される。

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