中国の2019年、針葉樹丸太輸入量を見る。
総量は過去最高値を記録した。うち、第一相手国ニュージーランドのシェアが39%と、引き続き中国丸太市場でその存在感は際立っている。その他、当分野で主要産地と認識されてきたロシア、オーストラリア、米国、カナダ、および参考までに日本も含めて、下のグラフとした。
さて、右肩上がりの中国市場の伸びやニュージーランドの動向に関しては、拙コラムのバックナンバー各所で語っているので、今回は別の視点を紹介したい。
今一番のトレンドは、「その他」が増えていることだ。2019年統計で言うと、上グラフで示した六ヶ国以外のトップ10に、ドイツ、チェコ、ウルグアイ、ポーランドがランクインする。特に、それまでほとんど無かったヨーロッパからの入荷が顕著だ。2019年の一年間で、ヨーロッパから中国への針葉樹丸太輸入量は8百万㎥を超えた。これは前年度の約四倍に当たる。そしてその数量は昨年、月を追うごとに増していった(下図)。
発端は、ヨーロッパで広まっている病虫害。被害を抑えるため前倒しで伐採された大量の原木が、欧州市場では収まりきれず、海を渡って中国に入っている。その結果、環太平洋地域の需給バランスが変化し始めた。丸太であっても、世界はボーダーレスに連鎖している。中国市場をモニタリングする上で、新型コロナウィルス問題と合わせ、ヨーロッパからの入荷量(ニュージーランドや日本から見ての競合動向)が当面の不確定要素だ。
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