YAHOO! JAPAN ニュースのアンケートを見てずっこけた。
先日の緊急事態宣言を受け「あなたが勤める会社ではどのような対応がとられましたか?」への回答にである。もちろん、我々のライフ・ラインに必要不可欠な仕事や、テレワークなどの対応が取れない職種があることは承知している。「補償が無いと休みようもない」と嘆く中小・個人も多いだろう。だが、この62.9%の中には「言われるがままに、または言われないがゆえに、(不要不急でも)いつものように出勤する」会社員も含まれていることは想像に難くない。戸惑いながらも在京線に揺られて、いつもより疎らな人混みを横目に、定時通りに出社を続ける友人がいる。守られなくても、守らなければと言う。そして政府は、まずは様子を見ながらと放つ。
NEWSWEEK日本版4月8日付、舞田敏彦氏の『「不要不急の仕事」の発想がない日本は、危機に対して脆弱な社会』を読んでぞっとする。曰く、日本の男性の失業率と自殺率は「気味が悪いくらい」に相関しているらしい。つまり日本では「失業は経済的にも社会的にも極めて大きな痛手」だから、過去70年の失業率と自殺率の増減傾向がほぼ完全に一致する。対照例としてのスペインは無相関、「失業が自殺に影響しない社会」で「働くことをそこまで重視しないお国柄が出ている」とする。読んでいて、上のアンケート(社会背景)とシンクロする。今まさに日本で世界中で、パンデミックという最悪のきっかけではあるが、あらためて働き方や意識が問い直されているのだろう。自分の仕事は、会社は、肩書は、ルーティンワークは、そして自分自身は、本当に必要なのだろうかと。
ニュージーランド某紙、ある伐採請負業者さんの記事にホッとする。伐採請負業者と言えば現在どこもロックダウン休業中だが、それ以前に新型コロナが中国で蔓延した段階で既に、輸出丸太の商流がストップして危機的状況に陥っている。事実、彼も二人のスタッフを解雇したと言う。てっきりその手のトーンの記事かと思いきや、「いつもは夜明け前に起きて長時間働き、子供たちと触れ合う機会も無い。今は一日中家にいて、さて今日は何をしようか、朝から晩まで家族と一緒に過ごせて超ハッピー」という内容。厳しさを増すこの状況の中で、物事を前向きにとらえ(ようとす)る。Be positive, stay positive. これはこれで、のんびりとしたニュージーランドらしいエピソードではないか。
©NZmokuzai.com all rights reserved. 文・図表・写真の無断転載を禁じます