日本の木質ペレット輸入量と国内生産量の推移につき想う。
日本で「再生可能エネルギー特別措置法(固定価格買い取り制度=FIT)」が施行されたのが2012年7月、その後木質ペレットの輸入量は7万トン(2012)から実に441万トン(2022)へと飛躍的に伸びた。ベトナム産とカナダ産が高いシェアを持つ。
その間、日本国内のペレット生産施設数は109(2012)から154(2018)まで増えたが、そこからまた現象傾向に転じて現在は136(2022)。国内生産量は9万8千トン(2012)から15万8千トン(2022)と大きな伸びはない。古い資料だが、日本経済新聞2018年12月11日付には「政府の固定価格買い取り制度(FIT)の認定を受けた案件の8割以上が稼働していない」という衝撃的な記事もあった。
コンサル勤務時代の2011から2013年にかけて、海外メーカーからの依頼で複数の日本ペレット市場調査案件に携わった経験がある。市場規模を予測し、固定価格から逆算したコスト分析を行い、海外メーカーにとって商機ありとした。当時日本国内で行ったヒアリングでは「バイオマス工場の設立件数は助成金が出るから増えるだろうが、国内林業の活性化にはつながらず、燃料の多くは輸入に頼ることになるだろう」と危惧する声も多く上がっていた。そもそも燃料材だけのために山は伐れない。
有識者・為政者にこのシナリオが見えていなかったとは思えない。そして、見えていたのだとしたらもっと恐い。
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