[093] 書棚の修論

週末、書棚の整理中に出てきた修士論文。あれから10年。

093

林産業や木材と直接の関係はないが、専門職コンサルタント視点で「組織学習」について書いた。「学習する組織」は個の知識の共有やその集団知の向上のために、組織としてなにが出来るのか。そこにはそれなりの背押力や動機付けが必要となる、という切り口で。

共通の興味や専門領域を持つ個々が、共に学びを深めたいと願い、その知識や経験を集団内で共有して融合させる。言葉にするとシンプルなことも、組織ではそれを可能にする場や文化、個への有形無形の見返りが無ければなかなか思うようには進まない。あの頃はそれ自体が典型的な事例とも言える、多国籍コンサルティング企業に勤めていたので、自ずとそんなテーマを選んだのだろう。筆を進め考察すればするほどに、良くも悪くも、ソフト面でもハード面でも、社内に思い当たる節が数多くあった。

勤め人時代は普通にそこにあった社内での学びの場も、自営・フリーランスの今は、自発的に刺激や啓発を外に求める必要がある。実際に動いて何かに参加するのもそうだが、たとえばSNS上での有意義なネットワーキングも、現代なりの新しい「学習する組織」のかたちと言えるんだろう。もし執筆時に今の立場だったら、個人経営者やフリーランスにとっての、ネットワーク(ある種のコミュニティ)を使った広義での「組織学習」や「知識マネジメント」あたりにフォーカスしていたかもしれない。

などと想いは巡るが実際のところ、製本の重みを手に取り頭に浮かぶそのほとんどは、論文の中身よりも当時の風景や心情・・・。フルタイムのサラリーマンだったので、提出期限の延長もした・・・二度も。何度放り出そうと思ったことか・・・。もっとやれたとか、でもそこそこ頑張ったなとか・・・。うっすらと積もった年代物の埃と誇りをごちゃ混ぜにして同じ場所に戻し、そして片づけは今夜も遅々として進まないのですよ、という話。


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