[136] 林業は絶対に必要なのか?

3月25日23:59以降、ニュージーランドではロックダウンが続いている。無論、新型コロナウィルス(COVID-19)の感染連鎖を絶つためだ。

ロックダウン中ではあるが、現段階では完全禁固状態ではなく、自宅付近での散歩やスーパーマーケットへの生活必需品の買出しなどは許されている。また、そのスーパーマーケットをはじめ、”essential”(絶対必要な、必須の)ビジネスは営業を許されている。「なにが不可欠か」については様々な見解もあるが、政府は『まずは必要最低限のものから、その後は状況を見ながら修正を』という厳し目のスタンスだ。

大前提として、ウィルスの感染連鎖を防ぐことがこのロックダウンの最重要かつ唯一の目的であるから、なんらかの人手が介する活動を最低限に抑えるのは当然の策で、生活者は一時(であって欲しい)の不便さを粛々と受け入れるしかない。なお、COVID-19の影響で休業や収入減を余儀なくされた場合の特例雇用助成制度は、ロックダウンに先駆けていち早く始まっている。

ところで、農業や果樹作、畜産業は「食」という絶対不可欠なものに直接関わる産業であるから、ロックダウン中も動いている。その一方で林業・木材産業は、今のところ一部の衛生紙製品や燃料の生産を除き、原則としてすべての伐採業や木材製造業が停止している。働きどころを失った従事者にとっては死活問題だし、輸出競争力も高い主要産業だから国としての経済的損失も大きい。関連業界団体は、政府に対して再始業許可を求める陳情を続けている。

はて、「林業(木材生産のためのそれ)」は実際のところ、絶対に必要なものだろうか? 奇しくもロックダウンによって浮上したこの命題は、実はこの業界に携わる者として、常日頃から自問しておくべきものなのかもしれない。思うに、木でなければいけない製品、つまり鉄やプラスティックなどで代替出来ないものなど、たぶん無い。物が溢れる社会にあって、必ずしも無くたって困らないもの(優先順位が低いもの)は、無くても事足りる。

そういった危機感を持って、それでも市場に木を選んでもらうため、我々に何が提案できるのか。何を創造できるのか。何に価値を見い出すのか・・・などと考える。くまのように。

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