[059] 萌芽

山林を歩いていて萌芽を目にすると、いつも想い出すことがある。

HOUGA

それは林学を専攻する大学時代、造林学か何かのテストだったと思う。「『萌芽更新』について説明せよ」といった類の問題がでた。自分は復習もろくにしておらず、言うに事欠いて「たぶん萌芽は、隣の木にどうしようもなく恋をしてしまったからだと思う。」と書いた。詩情に訴えた採点を期待したが、そこは創作文学の試験でもあるまいし、点数はもらえなかった。その科目の単位は、後に追試を受けてなんとかパスした記憶がある。

今でも萌芽を目にすると、忘られぬ相手は誰なんだろうと辺りを見まわす。


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