[069] ジーランディアの先っぽで

ニュージーランドは隠された7つ目の大陸「ジーランディア」の一部である、そんな学説があります。先週、アメリカ地質学協会から新しい論文が公表されたことで再注目され、真実味を帯びてきています。

この説によるとジーランディア大陸は、プレート理論において2億年前に存在したとされるゴンドワナ超大陸の一部を形成し、やがて分裂していったものであるらしい。北はニューカレドニア付近から南はニュージーランド界隈まで、この幻の大陸は490万平方kmの面積を有し、現在その94%は海に沈んでいると。最新論文では、このジーランディアが「大陸」と定義されるのにほぼ十分な条件を満たしているとする、科学的推論・根拠が並べられています。

わずか25kmほどの幅とはいえ、オーストラリア大陸とズーランディア大陸を歴として隔てる海溝の存在が、ニュージーランド人の自意識をくすぐるネタとしても色を添えています。Zealandia

地質学上の定義はともかく、2億年の地殻変動を経てゆっくりと海に沈んでいった幻の大陸の、そのわずか5%にあたる先っぽがこのニュージーランドだということ。慣れきった短焦点レンズを一気に広角に振り切ったかの如く、異次元に迷い込んだような感覚にぞくぞくします。例えばニュージーランドの南端には、約1億8000万年前の樹木が化石化して残っていますが、それらはまさにジーランディアがゴンドワナ超大陸から分裂する「直前」の、ジュラ紀の森の落とし物だったのですね。


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