ニュージーランドの森林業は「元本を切り崩さずに利息だけで食べて」いっているのか(収穫量は年間成長量内か)、を国単位の統計で見てみる。
(1) 先ず、人工林(木材生産林)の面積が170万ha。年平均成長量が20㎥/ha としてその90%が出材されると仮定すると、170万x20x0.9 = 約3000万㎥。これは現在の伐採量とほぼ合致するので、なるほど現状は「おおよそ利息分を伐っている」と言える。
(2) 次に、人工林の蓄積量と伐採量の推移を時系列で見る(下図)。2000年以降で蓄積の前年比微減が2度あるが、基本的には利息(成長量)内で生活(伐採)し、なおかつその一部は元本(蓄積量)に足しているので、預金(蓄積量)自体も増えているのがわかる。2000~2016年の利回りが年平均7.3%、利子収入中72%を消費して残り28%を繰越してきた結果、資産自体もこの16年間で37%(年平均2.0%)増えたということになる。この5年ほどに絞ると、安定して「おおよそ利息分を伐っている」と言える。
他の第一次産業と比べて林業の最大の特徴は、植林から育林を経て収穫までの、その長期軸にある。短伐期といわれるラジアータパインでもそのスパンは30年だ。現実にはその間に、預金を下ろしたい(伐りたい)時に満期(伐期)を迎えていないこともあれば、満期(伐期)を迎えても下ろせない(市況などにより伐れない)ということもある。そこである程度のバッファーが許されるのもまた、林業の面白さではある。
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