[096] 枝打ち・生産間伐実施状況

ニュージーランドの森林施業における、枝打ちと生産間伐の実施状況調査の結果について見る。なお、割合は面積ベース、ラジアータパインの人工林に限る。

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枝打ちを行うと答えたの全体のちょうど50%(上図の青&赤)。生産間伐を行うと答えたのは13%(青&緑)。両割合ともに、もっと高い数値をイメージした方も多いのではないだろうか。四分割での最大多数派は、「枝打ちはするが生産間伐はしない」とする40%(赤)。

枝打ちは無節丸太を生産するための施業で、育林コストが増す分、それを補う以上の価格で材が売れるというのが大前提だ。無節丸太からはクリア材が多く取れ、内・外装や化粧材として需要が高い。しかしながら、構造材や一般産業材の生産が主目的の林区では必ずしも必要でないわけで、つまり、森林所有者がどのような林分を育てたいのか(≒経営戦略)による。

間伐について。伐り捨て間伐は主伐時の蓄積を増やすためほぼ100%行われるが、生産間伐実施の割合は意外に低い。ニュージーランドの生産林収穫は皆伐がほとんどなので、生産間伐を繰り返して定期的な収入を得るといった事業ではない。また、間伐施業と間伐材集運のコストを考えると、利益にはならないのが一般的だ。市場としては、一部は小径木丸太として杭などに用いられる。

当たり前のことではあるが、ところ変わっても、林業経営には製品市場戦略と対費用効果の視点が不可欠であり、それによってスキームも違ってくるということだ。


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