日本の「森林経営管理法案」に関する幾つかの知見に触れ、無暗に「林業とは?」という大きなタイトルで始めてはみたが、うまくまとめらず困っている。
グーグルで「林業とは」と検索すると、ざっとこのような定義が拾える。
「森林を育てて、人間生活に利用するのを目的とする産業」「森林を育て、木材を得る産業」「主として樹木を伐採することにより木材を生産する産業」「森林を育成、維持し、これを経済的に利用する産業」「森林を育成し、その経済的・社会的利用を図る生産業」「森林のもつすべての機能を十分に発揮できるよう管理し取り扱う人間の営為」「森林の維持造成から木材の生産・販売を行う経済行為」etc.
これらをまとめると林業とは、「『森林を育て』『木材を生産する』『経済行為(人間の営為)』」か。経済行為とは、「生産や交換により財貨を獲得・利用する活動」だから、そこを核に、なるべく「森林のもつすべての(公益的)機能を十分に発揮できるよう」、おこがましくも強い意思を持って経営・管理を行う、といった感じか。森林の「物質生産機能」を利用した人間の営利活動で、森林のその他の多面的機能を極力保つべく継続的に管理すること、とも言えよう。
営みの部分では、その規模や理念はさまざまだと思う。マスからニッチまで、アッパー・マーケットからローワー・マーケットまで、木材市場も多面的で幅広い。戦略は差別化かコスト競争力か。銘木を仕立てていく林業があれば、徹底的に生産性や規模の経済を追求する林業があってもいいだろう。いや、あるべきだ。また地域や国が違えば、各々の産業の成り立ちや文化・価値観の違いも反映される。
思うに林業とは、大前提として木材を生産する収益行為であるが、かつ森林の持つ公益的機能の促進という、時に対立する使命も負う(追う)。そして製品の市場は多岐にわたる。さように林業とは矛盾をも包括した産業であり、多種多様な立ち居地や意見が存在する。「森林経営管理法案」内の「意欲や能力」に関する侃侃諤諤の議論もさもありなん、と感じる。
私個人は、国際市場の中での日本林業の競争力向上のためには、集約的施業を標榜する何らかのプラットフォームが必要であり、そのための指標となる「生産性」に切り込んだ攻めの一手になるのであればと、今のところ希望的観測込みの評価をしている。
<やっと終わり>
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