6月に入ると、ニュージーランドは陰鬱な季節になる。低温多湿なため体感温度も低くなりがちで、さらにひどいことには、この国では6月初旬から10月下旬まで祝日(つまり連休)すらない。
とにかく雨が多い・南風が冷たい、と毎年この時期になると気が滅入るので、ニュージーランド主要都市の気候(月平均降水量と日中最高気温)を調べてみた。
統計で見ても、ウィンタースポーツでも嗜まない限り、庶民には物憂い季節であることが分かる。しかしながらこうして見える化すると、「冬は雨が多い」という認識は筆者も住む北島(図の上3都市)でのみ顕著で、南島(下の2都市)ではそうでもないことにも改めて気づかされた。
そんなわけで冬になるとつい文句ばかり言いたくなるが、同スケールのグラフで日本と横並びで見ると、実はニュージーランドは降水量も日中気温も季節変動が少ない。「夏は涼しく冬は暖かい(ので日本と比べると過ごしやすい)」と一般にいわれるのも頷ける。降水量も、主観で思うほどにニュージーランドの冬が突出しているわけではなかった。数値に裏づけされてそう諭されると、この冬の文句の数もひとつふたつは減りそうだ。
なお、年間を通じてほぼ一定して「比較的湿潤で比較的温暖」なこのニュージーランドの気候が、一年中すくすくと育つラジアータパインにとって適した生育環境となっている。ニュージーランドの人工林の約7割が北島に集中するのも、さもありなん。
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