[115] 伐採量に準じた徴税

ニュージーランドでは森林所有者に対し、収穫時、その収穫量に対して一律に1トンあたり約20円が信託機関より課税される。

その税収入、ざっくり年間3000万トンの収穫量として6億円。徴収された金額は産業全体の未来に還元されるように用途が決まっていくわけだが、現在その6割強は、いわゆる R&D (Research and Development) に使われている。ではその「リサーチ」内ではどのような分野に使われているか、その内訳を昨年度の資料より(グラフ)。なお断わっておくが、ニュージーランドでは林業=人工林施業、そして人工林≒生産林である。したがってこの徴税額の使い途の全体を通じ原則として、如何に当産業の生産性・収益性を上げるか(公益的機能云々ではなく)ということが主眼となっている。115 levy2

さてその中でも、ニュージーランドの人工林の約90%を占めるラジアータパインの生産性や収益性をさらに高めることに予算の半分が使われることは驚きではない。この枠内での主テーマは以下の四つ。

① 既存林からの収益最大化のためのシステム確立。
② 将来に向けたより高品質・高生産性の森林の樹立。
③ 土壌・水・生物多様性などを含む施業体系の持続性。
④ 革新的な科学技術と今後のビジネス成長との結びつけ。

収益を上げる産業が協働でその一部をR&Dに充てること自体は、競合に対する競争力の維持・向上のために極めて自然なかたちであるが、20年以上携わってきて、こういった合理的な枠組み(フレームワーク)づくりはニュージーランドの気質・得意分野だとあらためて感じる。


©NZmokuzai.com all rights reserved. 文・図表・写真の無断転載を禁じます

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です