林野庁発表の2017(平成29)年次資料によると、「日本の木材自給率は前年より1.3ポイントアップの36.1%となり、2011(平成23)年から7年連続で上昇した」。
各数値のこの5年の推移を図1に示す。この木材「自給率」、国産材利用の度合いを測るいち指標としては上向きで良い傾向だが、さらに読み解くには総需給量やその内訳の変化も合わせて見る必要がある。
先ず項目別に、2017年次データの前年比増減の割合をまとめた(図2)。「用材」の増加率が「供給量合計」のそれを下回っているのに対し、「燃料材」の伸びが国産・輸入ともに顕著だ。これが「木材自給率」上昇の主因のひとつだと分かる。低価値材の割合が増すと、木(つまり山)の単価が下落する。バイオマス利用等による「燃料材」単独での増加は、産業構造や市場にひずみを招くことになる。
理想は、内外産を問わず国内市場での木材利用の絶対量がさらに増え、それを牽引するのは高価値な「(国産)用材」需要で、その結果、副産物・低質材の有効活用として「(国産)燃料材」供給量も増すことだろう。その思いで「国産用材率」なる指標を設定し、グラフ化してみた(図3)。案の定、数値は近年停滞気味で、2017年次の総供給量に対する「国産用材率」は28.4%、前年から0.2ポイント落としており、僅かずつだが2年続けて下降しているのが現状だ。
私的願望を言えば、図3で示した三つの値、(1)「国産用材」供給量も、(2)「国産用材以外(外材含む)」供給量も、そして (3)「国産用材率」も、すべて上昇する姿が見たい。木材が多く広く使われ、森林の年間成長量に応じた「国産(用)材」収穫の需給バランスが取れていれば、その結果として相対的な「自給率」が下がっても問題ないではないか。
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