[124] 最低賃金アップと林業

労働党の政権下で、ニュージーランドの最低賃金がこの四月からNZ$17.70/時(約1,345円)に上がった。前年比+7.3%。

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前政権の国民党時代(2008~2017)も順調に伸びてきた最低賃金ではあるが、7%を超える伸びはやはり労働党の長期政権下にあった2006年および2007年以来となる。現政権はさらなる最低賃金アップを公約とし、グラフに示したように「2021年にNZ$20」を掲げている。参考までに、日本の2018年度地域別最低賃金(時給)は761~985円、全国加重平均で874円(約NZD11.50)。

最低賃金が向上して最もありがたいのは、言うまでもなく現在最低賃金で働いている人たちで、最も困るのは、それらの人々を雇う労働集約型産業に属する中小企業である。収益を保つためには、上がったコスト分をどこかで削減するか、価格に上積みさせるかしかない。時給が上がると思ったら職がなくなったという笑えない人もいるだろう。AI化の流れにも立ち向かわなければならない。

林業の見地から言うと、人件費のアップはますますの機械化・自動化・無人化の進行へとつながっていく。ニュージーランドではこの5年ほどで、特に伐採・集材現場での機械化が一気に進んだが、作業時の安全性向上や環境への配慮を組み入れたサプライチェーン全体の自動化・無人化はさらに加速すると思われる。もともとが起業化精神に富む新し物好きの国民性で、新技術を取り入れる意欲は高く、意思決定のスピードも速い。

成長産業から成熟産業へと移行した感のあるニュージーランド林業が、また新たな局面を迎えている雰囲気があちこちで立ち昇っている。


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