[128] 「中国向け価格が急落」

8月6日付日刊木材新聞によると、中国向けのスギ丸太価格がここ数ヶ月で急落との事。

同記事を一部抜粋。①『ニュージーランド産ラジアータ松丸太価格が値下がりしており、杉材もその影響を受けている』。②『発電用未利用材は7000円程度が相場で(中略)「これ以上輸出用材が値下がりすると採算が取れない」』。以下、それぞれについて。128a

図①を見ると、ニュージーランド産ラジアータパイン(スギ主力と同等級を選択)の丸太価格は2019年5月から7月にかけて、実際に28%も下落している。スギは16%の下降。コモデティ市場をターゲットとするならば、中国の針葉樹マーケットで圧倒的シェアを持つラジアータパインの動向は、スギのアジアでの立ち位置に大きな、直接の影響を与えることは明らかだ。そこに左右されにくいスギの付加価値とはなにか?

なお、このラジアータパインの価格急落の要因については、立場上この場で多くを語れないが、中長期視点では今回の下落は市場サイクルの要素も強く、引き続き米中貿易摩擦の行方と、丸太在庫量、米ドル為替、輸送費などの変動も合わせて視ていきたい。

さて、二点目である。図①に、国内チップ用材の現在価格を重ねたのが図②。輸出用材に比べ、ラジアータパインは下落後もまだ3000円ほどの価格差を持つのに対し、スギは確かに切迫してきている。この日本国内のチップ材高値の理由は業界内の方には周知であろう、FITだ。ここにも「健康な状態」とは呼べない市場の不均衡が見える。128c

放言・言い捨て御免で申し訳ないが、補助金制度、過度の国産材優遇政策、そしてFITが、日本の森林産業構造や価格体系を歪めている(競争力を減退させる)と感じる昨今。


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