[129] 日本の「国産用材率」H30

林野庁発表の2018(平成30)年次資料によると、昨年の木材自給率が前年より0.4ポイントアップの36.6%となり、2011年次から8年連続の上昇となったらしい。

各数値の近年推移を図1に示す。かろうじて連続の上昇を保った「自給率」ではあるが、2020年に40%を、2025年に50%を目指すにしては、物足りない伸びではなかろうか。
129a次に、各項目別に2018年次データを2017年と比較し、増減度合いをまとめた(図2)。図1では絶対数が小さくて目立たなかったが、「輸入燃料材」の増加率が57.1%と飛び抜けて顕著だ。”国産材”や”バイオマス発電”が声高に叫ばれるこのご時勢で、「国産燃料材」が3.5%しか伸びてないのも目に付く。大局的な木材市場規模を表す「供給量合計」の伸び悩みも見逃せない。低価値材の割合が増すと、木一本(つまり山全体)の単価が下落する。「燃料材」単独での増加は、産業構造や市場にひずみを招くことになる。
129b理想は、内外産を問わず国内市場での木材利用の絶対量がさらに増え、それを牽引するのは高価値な「(国産)用材」需要で、その結果、副産物・低質材の有効活用として「(国産)燃料材」供給量も増すことだろう。その想いで「国産用材率」なる指標を提唱したい(図3)。案の定、この数値は近年停滞気味で、2018年次の総供給量に対する「国産用材率」は28.7%。「自給率」の上昇がクローズアップされる中、「国産用材率」は2013年次から変わらず28~29%の範囲内に留まっている。129c

私の願望を付け加えると、図3で示した三つの値、(1)「国産用材」の供給量も、(2)「国産用材以外(外材含む)」の供給量も、そして (3)「国産用材率」も、すべて上昇する市場の姿、活性化が見たい。木材という素材が多く広く使われ、適材適所で外材も活躍する。森林の年間成長量に応じた収穫と市場の需給バランスさえ取れていれば、その結果として相対的な「自給率」など下がっても問題ないではないか、と思うのだが。


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