2020年、ニュージーランドの丸太輸出量は微減にとどまった。
3~4月時のロックダウンに伴う産業停止状態と先が見えなかった状況を考えれば、一瞬目を疑ってしまう数字だ。いかにロックダウン以降の再興が順調に進んだかが分かる。相手国別にみると、早々と内需が回復した中国市場への依存度が以前にも増して高まっている。ニュージーランドの丸太輸出量の80%を優に超えるシェアだ(もちろんこれは、過度の市場一極集中という大きな懸念でもある)。
中国にとっても、丸太輸入量に対するニュージーランド産の比重はさらに上がっている。ロシアの戦略的な丸太輸出削減令、オーストラリアと中国の外交貿易摩擦、ヨーロッパ産病虫被害丸太の供給が一息ついたことなど、ニュージーランドの丸太輸出にとっては追い風が続き、現状はひとり勝ちと言ってもいい。中国とのFTAも2020年11月に改訂・強化され、さらに相互貿易優遇措置が進むことになった。
このような現在の需給地図であるから、日本からの丸太輸出量も過去最高レベルに達し、その競合は価格的にも質的にも、コモディティの代表格、ラジアータパインだ。かつて日本市場で低質材と見なされたラジアータパインが、時を経て、日本の丸太輸出におけるベンチマークになっている(海外市場では日本産を差別化できなかった)。日本側の市場戦略としては、これは残念な結果と言えるのかもしれない。
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