ロックダウンも経験したコロナ禍の最中、2020年の住宅着工数はどう動いたのだろうか。
ニュージーランドの2020年住宅着工数は、月別では例年に近い季節性の浮き沈みが見られるものの、長期軸ではほとんどコロナの影響を受けなかったと言える(図1)。いやむしろ、コロナで海外旅行にも行けないアッパーミドルから上の消費対象は住宅や車に向かった。景気回復のための超低金利が追い風となったのは言うまでもない。この10年間を見ても、潜在的な住宅不足は解消されず、ニュージーランドの住宅着工数は右肩上がりで推移している。
では隣国のオーストラリアや、木造住宅が主流という意味で同類のアメリカや日本はどうであったか。図2で示すように、ニュージーランド、オーストラリア、アメリカではそろって2020年の住宅着工数が前年比3~5%増だが、日本はリーマンショック以降で最も大きなマイナス成長となる10%減を記録した。最近、アメリカや中国の景気回復に伴う木材価格の暴騰、そして日本国内での玉不足や製品減産の記事をよく目にするが、その一端はこういうことだ。パンデミックのもと、漠然と世界経済が一様に停滞しているイメージがあるかもしれないが、お金(や木材)は使われるべくところで使われるべくして使われている。
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