[068] 長持ちする住宅とは (2)

ニュージーランドの建築基準は「建築基準法」を大綱とし、細かくは「建築条例」の下、実際の施工における具体的なルールが示されています。

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建築条例の核となるのが建築物の「安定性」の維持であり、そこには「構造性能」と「耐久性能」が含まれています。「構造性能」の目的は(1)建築構造上の欠陥から人体の安全を守ること、(2)建築構造上の理由で居住者の居住性・環境アメニティを損なわないこと、(3)建築構造上の欠陥がまねく他の建築物への被害を防ぐこと、と謳われています。また「耐久性能」については、建築物のライフ・スパンを通じて、その目的・性能を常に満たすこと、とあります。

このニュージーランドの建築条例における「耐久性能」の条項のなかで特徴的なのが、「50、15、5年ルール」です。ここでは、建築部材はすべからくその使用箇所(部材へのアクセスの難易度)に応じて、通常の維持管理のもとで一定以上の耐用年数を持つことを義務づけています。具体的には、アクセス・取替えが「困難」な部材には50年以上、「比較的困難」な部材には15年以上、「容易」な部材には5年以上の耐用年数を求めています。例えば、荷重がかかる(ので取替えの困難な)構造材や屋根・床材には50年ルール、荷重のかからない部位の枠組み材や階段などの建具の類には15年ルールが適用されます。つまり、住宅として最低50年は持たせるというのが前提です。


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