[104] 十億本植林計画

昨年10月に発足したニュージーランドの新連立政権は、林業・林産業へのサポートに前向きな姿勢を前面に出しているが、そのひとつが「十億本植林計画」だ。

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十億は英語で one billion。区切りがいいというか響きがいいというか、いかにもスローガン的な数字であり、その中身は年間一億本の植林を10年続けるというもの。

年間一億本といえば、造林面積にして約10万ha/年。収穫量3千万㎥/年の現状レベルが続くと仮定して、主伐後再造林分が約5万ha/年。ということは残り5万ha/年が新規造林。苗木生産や労働力などの植林活動面では、決して物理的に不可能な目標ではない。最大の問題は市場面だと思う。すなわち、売れるのか? 林業であるから数年のバッファや誤差は折込み済みだとしても、年間10万haからの出材量を捌くのは大変だ。x600㎥/haで伐採量6千万㎥は現状の倍の規模。育林、伐採施業、集運材、物流インフラ、港湾設備、加工能力、市場開拓などなどが、それに比例して必要となる。

とはいえ、実現・不遂や成功・失敗はさておき、こうやって大風呂敷を広げて先ずはやる(そして、ぽしゃってもおそらく反省や検証はない)というのは、非常にニュージーランド的だと思う。私見では、「10年で十億本植林」達成はまず無いだろう。だが、「現実的に考えると」などと言った枕詞を取っ払うところからパラダイムシフトが生まれるのだよ、としたり顔で言われれば、きっとその通りなのだろう。

完全に余談だが、昨年10月の選挙で大方の予想を裏切る新政権誕生への切り札となった若き首相アーダーン氏(37)は、今年半ばに第1子を出産予定であり、6週間の育休を取得すると発表した。メディアでもとても好意的に受け止められている。祝事であり当然のことだが、現職首相の出産・育休もまた、いかにもニュージーランド的なニュースではないか。


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