[141] ロックダウン後のNZ林業

今日で丸四週間となる『警戒レベル4(ロックダウン)』は、4月27日23:59をもって緩和されることが決まった。次は二週間の『警戒レベル3』。

気持ちが少し軽くなるような気もするが、『警戒レベル3』では事実上、ほとんどの人の社会生活はロックダウン時と変わらない。引き続き “STAY HOME” が大前提。不要不急の外出は禁止。在宅勤務できる人は家で働き、子供たちも(やむを得ない事情がある場合を除き)在宅学習を続ける。息抜きも近所の散歩程度に限られるし、ソーシャル・ディスタンスなどのルールもそのままだ。

では、違いは何か。それは、ほぼ完全に止まっていた経済活動を、回せるところから回し始めましょう、ということ。『レベル4』では必要最低限の “Essential Business” に限られたのが、『レベル3』では “Safe Business” も(あくまで政府の対コロナ安全基準を満たした上で)営業が許される。そして、皆さん関心の林業・木材製造業もここに含まれる(林業のオペレーションが「安全」かどうかはまた別の話として。あくまで対コロナで)。

少し具体的に書くと、止まっていた伐採活動が動き始める。伐った丸太は国内工場や輸出港に運ばれる。国内工場では、まずは国内で不足する製品の供給を優先しながら生産を開始する。港では、相手国側の受け入れ体制もあっての事だが、手配できるところから輸出を再開する。業界挙げて、徐々に稼働率を上げていく。なお、再度断っておくが、これはあくまで対コロナ安全基準を満たしながらであり、各事業体の操業水準が元に戻るのにはまだ数ヶ月を要するだろう。

さらにその先の世界を考える。各業界における「国内需要回帰」「地産地消」「地域内経済循環」などが見直され、バリューチェーンが再定義されていく。食料やエネルギーの自給率を上げることもそうだし、インバウンドばかりに頼れない観光業も然り。マスクも、ワクチンだってそうだ。ではニュージーランド林業はどうかというと、当面は物流がボトルネックとなり輸出も厳しい状況が続くが、もともと産業としての自給率は200%を超えており、今後も外貨獲得が期待される主要輸出産業であることは変わらない。

管理された人工林から年間 3,000万㎥ 以上が伐期をむかえ、一本の木からは様々な等級や製品が取れる。国内・輸出各市場では求められるスペックも違い、それら選択肢の組み合わせで業界は収益の最大化を目指す。アフターコロナで「ニュージーランドからの木材輸入ができなくなる」という話にはならない。

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