[082] 100年の人工林づくり

ニュージーランドの人工林面積は170万ヘクタール。日本の人工林面積の20%に満たないものの、伐採量は3000万㎥と日本のそれの約1.5倍にあたる。木材輸出国として、アジア・パシフィック市場で確固たる地位を築いている。

今やニュージーランドの林業・林産業はほぼ100%人工林からの出材によるものだが、ニュージーランドの「人工林」林業(=人工林拡大政策)の歴史は100年。20世紀初頭までは、木材需要は天然林(の乱伐)に頼りきっていた。このままでは国内資源が枯渇するとの危機感から、ニュージーランドの近代林業が始まった。そして、輸出需要の伸びとそれに伴うビジネス・投資先としての魅力から、人工林面積の拡大が加速度を増したのは、図1にあるようにこの50年ほどの話だ。急速な拡大期を経て、ニュージーランドの人工林面積は今世紀にはいり、170~180万ヘクタール内で推移している。

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総面積では順調な右肩上がりに見えるが、各年の新規造林面積を追うと、増減はそれなりに激しい(図2)。筆者が当業界に入った1990年代前半には「新規造林目標は年間5万ヘクタール以上」と謳われていたのを思い出すが、統計上は1998年を最後に新規造林面積は年間5万ヘクタールを切っている。ニュージーランドの人工林の96%が私有林である今日、人工林林業・林産業はビジネス・投資であるから、その時々の木材市況や他の土地利用と比較したときのリターンを反映し、今後も新規造林活動に波ができることは想像に難くない。

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国策として始まったこの100年でのニュージーランド近代林業(人工林づくり)は、主要市場の需給バランスや国土の土地利用の観点からも、着実な発展を遂げ、安定期に入ったと言えよう。次の100年の策は、資源管理、安定供給、マーケティング、付加価値創出、競争力維持などが課題となる。


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