[146] NZの丸太価格市況

世界的には変わらずコロナ禍にあって、ニュージーランド林業は好調だ。

周知のとおり、昨年3月の新型コロナ第一波を受け、ニュージーランドは早々に全国でロックダウンを発令し、短期集中撲滅型のウィルス対策が功を奏した。ロックダウン中や直後は林業・木材産業も完全停止状態だったが、その後は早々に回復し、現状はむしろ好景気と言える。特に輸出丸太価格は、豪州・中国間の貿易摩擦を横目に、史上最高値も漏れ聞こえ始めるなど、このまま突き抜けていきそうな勢いだ(下図)。0203

輸出向けは、新型コロナ第一波時に溜まった中国側の在庫が一掃され、かの地の需要が完全に戻っている。豪州・中国貿易摩擦や他国からの供給の乱れも追い風に。また国内向けは、潜在的課題である都市部住宅不足に加え、コロナの影響で海外在住市民の帰国が増え、衣食住や生活用品まわりが調子いい。貯金の苦手なニュージーランド人は、海外旅行などもままならない今、その予算を車や家などに充ててしまう傾向も顕著。

なお、ニュージーランドは先進国として初めて中国とFTA(Free Trade Agreement: 自由貿易協定)を結んだ国(2008年)だが、2020年11月に改訂・強化し、さらに相互貿易優遇措置が進むことになった。超資源大国の隣国オーストラリアが気丈な態度で中国と外交対立中の今、第一次産業製品輸出に依存するニュージーランドのビジネスライクな対応、という対比の文脈で読むと面白い。


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