[106] 植林活動への補助金

日本の林業と補助金は切っても切り離せない関係にあるが、ニュージーランド林業には原則として補助金はない。

端的に言うとそれはつまり、補助金がなくとも産業がビジネスとして成り立っているからに他ならない。ただし例外はある。市場原理に任せた結果として、適正な新規植林活動が滞っていると行政が判断した場合には、その活性化への奨励策として期間限定で、諸条件を満たした新規造林に補助金が提供される場合はこれまでもあった。

先月告知された2018年版の補助金は、コラム#104で紹介した「十億本植林計画」がその背景にある事は言うまでもない(年間一億本の新規植林を10年続けるというもの)。年間一億本といえば、造林面積にして約10万ヘクタール/年。過去の推移を見ても、壮大なターゲットといえる(下図参照)。

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「計画」の実現性に関する私見などはコラム#104を読んでいただくとして、今回の補助金の骨子は、2020年までに植林される5~300ヘクタールの新規造林を対象に、ヘクタールあたりNZ1,300ドル(約10万円)を補助するというもの。予算上限は19.5百万ドルなので、審査を通った計15,000ヘクタールが対象ということになり、「10万ヘクタール/年」の15%にあたる。補助対象の造林規模を見ても分かるように、中小の民間森林所有者(または新規参入者)をターゲットとしたインセンティブとなる。

樹種に限定はなく、公的資金が投入されるものであるからして、「土地利用性・生産性の向上」「地方経済の発展」「二酸化炭素吸収」「水質改善」「土砂崩れ防止」などの公益的機能も補助金導入の目的として謳われている。


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